10話
私は、ちょっとずつだけれど、みんなに溶け込んでゆけたよね。
同性の友達と夢中で遊ぶアキを、そんなに頼ってはいけない。と、すぐにも気付いた私は、自分だって同性の友達を見つけようとした。
ちょっと苦労したけれどね。
女の子も、みんな大きかったから。おまけに集団生活を、ほとんど送らなかった私には、クラスメイトの女子達は、まるでお姉さま方を友達にするような感じだったもの。
同い年とは見えないほどに、彼女達の“心”は大人びて、言葉遣いからして、全然違った。
でも、姉御肌の“今日子ちゃん”のおかげで、なんとか毎日を送れていたかな?
人見知りのひどい私を、今日子ちゃんはよく引っ張ってくれた。
子だくさん家庭の長女として、妹弟たちの面倒を見ていた彼女は、新しい妹ができたみたいな感じで、側にいてくれたわ。
学校に行ってよかったと思う。
みんなと共に、勉強して、いろんな体験して、泣いたり笑ったり・・・・。
小学時代は輝いていた。
ただ、一つだけ心残りの事はあったけれどね。
身長が、思ったより伸びなかったこと。
小学校を卒業する時には、140センチにも満たなくて、高校を卒業する頃になっても、150センチを切っていたこと。
運動神経も、悪かった。50メートル走も10秒切った事なかったし・・・というか、12秒、13秒台だったわ。
走ることに関しては特に、クラスのどの女の子にも、勝てたためしがなかった。
走り幅跳びも、マット運動も、飛び箱もダメだった。バスケもバレーも話ににならない。
ドッチボールでさえ、あっという間に当たって外野へ。
鬼ごっこなんてすれば、万年鬼状態。
全然タッチできなくて、歯を食いしばって、立ち尽くす万年鬼の姿は、みんなから見て面白くなかったかと思う。
自然誰かが、
「だから、綾にタッチしたら、進まないって言ってるじゃん。」
なんて、言いだす子がいて、じゃんけんで再び鬼を決めるって感じで、遊びを再開する。なんてのが何回もあって・・。
私と遊ばない。って、ならなかったのが、不思議なくらいだった。
はみ出されずに、彼女達や彼等の端にしがみついて、なんとか小学時代は終わっていった。
勉強は、なんとかついてゆけたのが、救いだったかな?